%)、「補機等の整備・点検・取扱不良」が二一原因数(九・九%)などとなっている。
「主機の整備・点検・取扱不良」について細かくみると、点検不十分だったものが四四原因数(三七・六%)と最も多く、次いで運転中の措置不適切が一九原因数(一六・二%)、整備不良が一五原因数(一二・八%)、運転中の管理不十分が一二原因数(一〇・三%)、運転中の確認不十分が九原因数(七・七%)などとなっている。
また、これらによって発生した損傷箇所別の状況をみると、損傷が二箇所以上に及ぶものが多くあり、その損傷の程度もさまざまではあるが、シリングライナーの損傷が五九件と最も多く、次いでピストンの損傷が五七件、クランクピン軸受けの損傷が三三件、クランク軸の損傷が三二件、主軸受けの損傷が三一件、過給機の損傷が二九件、連接棒の損傷が二二件などとなっている。
2、 乗組員のかかわらない海難原因
海難原因は、見張り不十分、信号の不吹鳴、航法不遵守など乗組員が直接かかわっている場合が多くを占めているが、乗組員のかかわらない海難原因(二九原因数)を見ると、次のとおりである。
(1)船舶運航管理の不適切 この分類は、船舶所有者・運航管理者・荷役業者等の船舶の運航に携わる会社等の管理体制や運航計画などにその原因が認められたものであり、一〇原因数が示されている。
(2)船体・機関・設備の構造・材質・修理等不良
この分類は、造船所・エンジンメーカー・修理業者等の施工等にその原因が認められたものであり、一六原因数が示されている。
(3)不可抗力
この分類は、異常な気象・海象や予知できない水中漂流物などによって発生したと認められたもので、二原因数が示されている。
海難審判行政の推進と課題(第六章)
海難防止施策への反映
海難審判庁が海難原因を究明し、その発生防止に寄与するという目的を達成するためには、裁決により明らかにされた海難原因や海難防止上の指針を海難防止施策に効果的かつ速やかに反映させていくことが必要である。このため、海難審判庁においては、以下のような海難の再発防止のための広報活動等を行っている。
1、 海難の再祭防止のための広報活動
(1)審判についての広報
(2)裁決の行政後関および海事関係団体等への周知
(3)海難審判説明会の開催等
2、 海難実態の研究分析
=省略=
今後の課題
昭和二十三年二月に海難審判法が施行されて以来、海難審判庁においては、我が国の海難史に残る重大海難事件をはじめ、数々の海難事件について調査・審判を行い、海難原因の迅速かつ的確な究明に努めてきた。
しかしながら、我が国が経済大国化してからの最近の二十年間においては、技術革新の目覚ましい進展や船員制度の近代化に伴う船舶の構造・運航形態の著しい変化、経済成長に伴う危険物積載船や外国船の航行の増加、遠洋・近海・沿岸での漁業活動の活発化、国民のレジャー志向の増大に伴う海洋レジャーの普及などにより、海難の形態が複雑多様になってきている。
特に、ここ数年では、乗組員や乗船者の多大な死傷を伴う、漁船の転覆、旅客船の桟橋衝突やプレジャーボートーの各種海難、貨物船同士の衝突等の重大海難事件が発生しており、これらの海難原因を迅速かつ的確に究明し、同種海難の再発防止施策に資する必要がある。
このような状況に対応し、海難審判庁では、海難船舶に関する検査・鑑定を積極的に活用した調査・審判を行うとともに、職員に対する専門技術と調査・審判技法の習得等のための研修を充実し、さらに社会的な影響の大きい重大海難事件については、特別調査本部を設置することを含め、調査業務体制を強化するとともに、集中審理による審判を行うなどして、原因の早期解明を図っている。
このため、現在、次のような海
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